奥沢すばる動物病院のブログ

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ペットの出産への備え④難産について

 

subaru-ah.hateblo.jp

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日本では昔から犬は安産の象徴として知られ、信仰の対象にもなっています。

そのためか現在でも犬のお産=安全と考えられがちですが、昨今の小型犬がメインの状況では必ずしもそうではない事が多いです。

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そのためここでは

・難産のリスク要因

・難産の判断

を記載していきます。

 

【難産のリスク要因】なぜ難産になるのか

難産は大きく分けて3つの要因から生じます。

  1. 犬種の問題
  2. 母体側の問題
  3. 胎児の問題

の3点です。

 

1・犬種の問題

以下に難産リスクが高い犬種を上げます。

  • 短頭種
  • テリア種
  • トイ種

が高リスク種と考えられています。

 

短頭種

パグ、シーズー、フレンチブルドック、イングリッシュブルドックなど。

これらの犬種は胎児の頭部が過大となる事が往々にしてあるため、母体の骨盤径よりも胎児頭部径の方が大きくなり、自然分娩では産道に引っかかってしまう事が多々起こります。

これらの犬種では事前の検査で胎児頭数を把握し、胎児径・母体骨盤径を計りリスクの程度を把握しておく事が必要です。

また、これらの犬種では出産前にプロジェステロン濃度を測定し、計画的な帝王切開を予定しておく事も安全にお産をすすめる対策の一つです。

テリア種

スコティッシュテリアなど

一部のテリア種では骨盤の縦方向(高さ)が横方向(幅)に比べて短くなっており、やはり産道内に胎児が引っかかりやすい特徴を備えています。

トイ種

チワワ、M・ダックス、ヨークシャーテリア、トイプードルなど

アメリカでは上記トイ種では出産時における難産の発生率が高いというデータが出ています。

しかしながら他国では別のデータも出ていることから、これらの犬種そのものに難産発生のリスクがあるのか、あるいは家系的な要因(ブリーディングの問題)が組み込まれてしまっているのかは不明です。

いずれにせよ小型犬では十分にお産の経過を観察して、難産に備える必要性があります。

 

2・母体側の問題

母体側の問題としては、出産時に

”産道が拡張しきらないこと”

が最大の問題となります。

  • 子宮筋無力症:低栄養(低カルシウム、低血糖、低タンパク)、高齢出産など
  • 産道狭窄:骨盤狭窄(過去に骨盤骨折の既往あり等)、膣狭窄、外陰部狭窄

などが問題点として上げられます。

 

・子宮筋無力症

母犬の栄養状態や高齢出産などに伴い、出産時の陣痛に対して子宮が収縮せずに胎児が娩出されない状況を言います。

平たく言うと、子宮のエネルギー不足ないしは子宮の力不足です。

病院での処置としては、低栄養状態であれば補充し(点滴製剤によるカルシウム値の補正)、子宮収縮を促すオキシトシン注射を打つ事もあります。

 

・産道狭窄

お産の際に胎児が通過するところの総称を産道と言います。

子宮〜膣〜外陰部を経て胎児が母犬の体外に出るまでの通り道のどこかに狭い部分があると胎児の娩出が阻害されます。

過去に骨盤の骨折をしている症例、外陰部狭窄の症例などが認められます。

帝王切開や、陰部切開など外科的な対応を要する事が多いです。

 

3・胎児側の問題

胎児側の問題としては

  • 胎児過大
  • 胎児失位
  • 奇形胎児

などが挙げられます。

 

・胎児過大

出産予定日を過ぎても分娩兆候がこない場合、初産の場合、胎児数が1-2頭と少ない場合、母犬が小柄な場合など。

母体に対して胎児が大きくなりすぎることを胎児過大といいます。

多くの場合、事前のレントゲン検査にてリスク判断が可能です。

やはり外科的対応となる事が多いです。

 

・胎児失位

胎児が産道内でひっかかってしまい、娩出されない時があります。

胎児の向きや首の曲がり方などでいくつかのパターンがありますがいずれも緊急性が高い事が多く、帝王切開の対象となる事が多いです。

 

【難産の判断基準】

難産の判断基準を以下に示します。

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このうち、特に緊急性が高い状況になりがちなのは、

③、⑤、⑥です。

実際に緊急性が高いか否かは病院にて母体の状態、胎児心拍数などを確認しながら判断します。

まずは上記のような状況になる事があれば速やかに病院に問い合わせ指示を仰いでください。

 

”難産かな”と思ったら

動物病院で周産期の動物が来た時に飼い主様に確認することは、

・出産予定日

・体温降下からの時間

・(破水していれば)経過時間

・予定胎児数

になります。

なので何かの時のために、これらはメモを残しておくようにしておいてください。

 

人も動物も、何もないのが一番良いのですが

何が起こるかわからないのが出産でもあります。

備えあれば憂いなし。

十分に備えて新しい家族を迎えましょう。