奥沢すばる動物病院のブログ

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ペットの出産への備え③出産について

③出産について 

subaru-ah.hateblo.jp

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【正常な分娩の過程】

第Ⅰ期 開口期

規則正しい陣痛の始まりから、子宮頸管が拡張して全開になるまでの期間をいいます。

この時期になると母犬はそわそわと落ち着きなく過ごしたり巣作り行動を示したりします。

巣作り行動とは、薄暗いところに行ってタオルを自分の床に引き詰めたり、穴を掘る様な仕草を見せたりします。

また食欲低下呼吸が早くなる、頻尿になるなども比較的よく認められます。

行動の変化は個体差が大きく、そういった様子が全く認められない犬もいます。

 

第Ⅱ期 娩出期

子宮口の全開から胎児の娩出までの期間をいいます。

陣痛が激しくなり、母犬は強いイキみを示すようになります。

娩出直前には破水といって、胎児を包んでいた膜が破け、中から液体が多量にでてきます。

破水後には陣痛がさらに強力になり一気に娩出へと向かいます。

胎児の娩出が順調に進まない時、緊急的な帝王切開が必要となります。

(いわゆる難産の時)

難産時の対応については別個記載しています。

 

第Ⅲ期 後産期

胎児の娩出から後産(胎盤)が排出されるまでの期間をいいます。

生まれたての胎児は膜に包まれて出てきます。

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母犬は通常、この膜を舐めて破り、その後胎児を舐めることで呼吸刺激を促し、それによって胎児の呼吸が始まります。

無事に生まれた仔犬は母親の母乳を求めて動き、最初のお乳を飲みます。

このお乳は初乳と言って胎児にとって非常に大切なものです。

初乳中には防御力の塊とも言える移行抗体と呼ばれる免疫の武器が入っています。

母犬からもらった移行抗体によって弱い仔犬の体は細菌やウィルスなどの外敵から身を守れる様になります。

授乳刺激によって母犬の子宮は収縮し、胎児を覆っていた胎盤が剥がれ、排出されます。

多頭出産の場合、1頭ごとの出産の間に胎盤が排出されるのが普通です。

この胎盤、悪露などと呼ばれる事もあります。

また胎盤を食べさせると良いなどと記載があるものもありますが、母体が下痢や嘔吐をするリスクもあり、推奨はされません。

 

※新生児の体温

生まれたばかりの胎児は体温が保てず低体温に陥りやすい状態です。

そのため以前は犬でも産湯につけて温めつつ汚れを落とす事が推奨されていました。

現在ではその行為によって母犬の母性行動が時に阻害される可能性があり、産後の育児放棄につながる危険性も指摘されていることから、産湯の必要性については意見が別れるところです。

しっかりと温かい環境を作りつつ、生まれた後はタオルで体を拭き、その後は母犬に任せるというのも良いかと思います。

 

※出産の所用時間、出産中の食餌について

多頭出産の場合、一頭目から最後まで長いと12時間〜24時間近くかかる事もあります。

当然、母体も消耗してきます。

母犬が欲しがる時には水分・食餌をしっかり与えて栄養補給してあげる様にしましょう。

多頭出産の場合、後半になるほど子宮の収縮力なども低下して胎児が娩出しづらくなってきます。

必要となる栄養素として炭水化物カルシウムなどを効率よく補える食事が理想的です。

出産前の食事に少しこれらを意識した食材を混ぜておくのも対策の一つです。