奥沢すばる動物病院のブログ

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冬の病気のこと

 段々と冬の足音がしてきています。少し厚手の服も朝晩にちょうどよくなってきていますね。

久しぶりの更新です。今日は普段の診療の中で比較的よく話題に上がる内容を取り上げて、季節毎に増える病気について書いていきたいと思います。今回はこれからの季節である”冬”について。

 

冬に増える病気なんてあるの??

・・・あります。ただ実際のところ学術的に明らかな差がある程ではないのですが、獣医師のなかでも実感として明らかなものが幾つかあるのでそれについて私見も交えて記載していきます。

 

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①猫の下部尿路疾患(FLUTD)

 尿路結石症、細菌性膀胱炎、特発性膀胱炎(FIC)などいくつかの病気を総称して猫の下部尿路疾患(FLUTD)と言います。それぞれの病気の原因は異なりながらも、好発状況、臨床症状、治療法が近いため一連の疾患群として捉えられている病気です。症状としては血尿が出たり、雄猫では尿道に詰まり物ができてしまいおしっこが出ないという緊急状態に陥ることもある病気です。

この病気、明らかな学術的証拠(統計学的な差)はないものの幾つかの要因から冬に多くなると考えられています。

A・飲水量の低下

 冬場になり夏に比べると水を飲む量が減ってきます。さらに猫は元来が”体の乾き”に強い動物と言われています。水分摂取の低下尿路結石症のリスク増加となることが知られており、ここから冬には結石症が増えると言われています。

B・運動不足

 猫はこたつで丸くなる、と言われるように冬場の寒さから運動量が低下しがちです。特にお外にでる子では顕著でしょう。運動不足による体重の増加ストレスの増大特発性膀胱炎のリスク要因として挙げられています。

その他にもこの病気に影響を及ぼす因子としては、”猫種”、”性差”、”肥満”、”食餌”などがあげられます。

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 これからの季節、まずはご家庭で猫ちゃんが飲むお水の量にも着目してみてください。いつもより少ないなと感じたら・・・

○飲水機会を増やす:飲み水の器が一箇所しかないようであれば各部屋毎に置く、流れるお水が好きな子は積極的に蛇口に連れて行ってあげる、適温(好みの温度)を探す、などが直ぐにでも行える対応です。

○香りを足す:お出汁や猫用のミルクなどを薄めるのが好きな子もいます。

まずは上記のような簡単な工夫からで良いので試してみてはいかがでしょうか。

 

②慢性気管支炎(アレルギー性気管支炎を含む)

 犬ではミニチュアダックスフンドなどで好発が知られ、猫でも類似の病態で”猫喘息”と言われる疾患です。何らかのアレルギー原因(例:タバコの煙など)を受け気管支内で過剰な炎症反応が起こります。結果として気管支が過敏になり少しの刺激でも過剰に””や””が誘発されることになります。

 これらの病気は冬に多くなるわけではないのですが、冬場の乾燥冷たい空気が気管にとっては刺激となり咳などの症状が酷くなる事があります。放っておくと重篤化し”肺炎”に繋がることもあるため、咳が多いと感じたら一度病院で診ていただくのが良いでしょう。

 対策として乾燥をさけるため加湿をしっかりと行っていただくのが最適です。また、朝のお散歩時、外に出た瞬間に冷たい空気を吸い込んで咳き込みが始まることがあります。お散歩の時間を少しずらすなどして可能な限りの対応を試みてください。

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③誤食

 これは季節性というわけではないのですが、これからクリスマスお正月などご家族皆様で集まる行事が多くなるシーズンです。お家の中で沢山の飾りや、美味しい料理などを目にする機会が増えるシーズンでもあります。その分、何かとお騒がせなワンちゃん・ネコちゃんも多くなりがち…。

クリスマスチキン飾り観葉植物などいずれもよく誤食で病院に来るケースです。

・鳥の骨は噛み砕いた形状次第では先端部分が鋭利になり危険になることがあります。また骨の消化にはとても時間がかかるため危険と判断した場合には通常、即時、内視鏡での摘出を試みます。

・飾りも当然消化できるものではありません。特に若いワンちゃんでは遊んでるうちにクリスマス用の靴下を丸呑みしたケースも…

クリスマスローズポインセチアなど彩り豊かな植物が店頭に多く並びます。いずれも花・葉・茎を食べてしまうと中毒症状を引き起こしかねない植物です。ご家庭内ではこういった植物は動物たちの届かない場所に置かれることを意識してみてください。もし食べてしまったなら直ぐに病院へと連絡してください。中毒は摂取経過時間が最も大事です。早ければ早いほど打てる処置が多くなります(催吐処置・胃洗浄など)。

注意ポイントを意識して安全に楽しい季節をお過ごし下さい。

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 最後に少し宣伝です。10月同様、11月発売の獣医系雑誌で再度記事を書かせていただく機会を得ました。ご協力いただいた全ての方々に感謝です。先月に引き続き監修を担当された藤原亜紀先生、インターズー社ご担当の富樫様、改めて御礼申し上げます。とても勉強になりました。こういった機会に得た内容がこれからの日々の診療に少しでも活かせればと思います。

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